設立趣意書

特定非営利活動法人 野田子ども劇場

設立趣意書



私たち野田子ども劇場は、文化的、創造的な体験を通して野田の子ども達が豊かに育つ地域社会をつくります。

1984年、野田に『子ども劇場』が設立されてから17年がたちました。途中、1990年から、増え続ける会員に対し、さらに密着した活動をしていこうと、市内を2分割し、野田北子ども劇場・野田中央子ども劇場という2つの劇場を発足させ、活動を続けてきました。そして2年前、将来のNPO法人格取得を視野に入れて、組織的にはそれぞれの劇場に合わせて1本化することでスケールメリットを生かし、活動面では、それぞれの地域に根ざした元気な活動を展開していくことを確認し合いながら、2劇場の合併をはかりました。事務所も、旧商工会議所跡ビルの2階を新たに借り受け、地元の商店街の中で、より地域に開かれた活動を目指して、行政や他団体と手をつなぎながら一歩一歩確実に歩んできました。

創立よりのこの17年間、子ども達に、夢を、そして創造的で文化的に育ってほしいと願いながら活動を続けてきたその中で、子ども劇場にかかわってきた子ども達の数は、延べにして1万人を超えています。そして、創立当時幼児だった子ども達も、今では高校生、青年となって小さい子ども達のよきリーダーとなって活躍しています。異年齢集団のこの子ども達こそ、私達の何よりの財産だと言えることでしょう。一方、乳幼児をかかえて子育てに追われている若いお母さん達が、地域の中で安心して子育てができるようにと願い、つくりあげてきた幼児サークルも、もう8年がたちました。集まってくるお母さん達の子どもの年齢が、乳幼児へと低年齢化してきている現実の中で、子育て支援的立場からも、幼児サークルの必要性を実感しています。

近年、子ども達を取り巻く社会の状況は、年々厳しさを増し、殺伐とした日本の社会現象を浮かびあがらせています。いじめ、不登校、学級崩壊、そして10代の若者達が引き起こす事件の数々、このような子どもの背景には、小さい頃から積み重ねられた人と人との関わりの中で身についていくはずの社会的体験が希薄になっているという現状があると思われます。物質面では非常に豊かになった高度経済成長下の日本の中で、小さい頃からの子ども同士の関わり、親子の関わり、そんな当たり前のことを体験できないで育った若者達の心の淋しさが産んだ社会のひずみではないでしょうか。

人間関係は幼児期からのいろいろな体験の中で育つものと考えます。私達は子どもの権利条約の中の、子ども達が子どもらしく育つ権利を大切に考えながら、小さい頃からのいろいろな体験活動を通して、自主的・文化的・創造的な心を育みながら、人と人との関わり方、豊かな人間性をつくりあげていってほしいと願っています。そして、私達大人は手をとりあって、地域の中でひとつの大きな目をもち、野田の子ども達が安心して育ちあうことのできる地域社会をつくるため、さらなる活動を続けていくことを目的として、ここに特定非営利活動法人野田子ども劇場を設立いたします。

2001年7月1日   
 野田子ども劇場設立総会